セブンイレブン消費税計算の怪(事実整理編)

この記事は特定の企業の対応を検証するものです。
事実確認には細心の注意を払っていますが、執筆者はただの大学生なので情報収集にも限界があります。
事実と異なる箇所、誤解を招く表現があればご一報ください。
可能であれば修正、致命的な欠陥があれば非公開にして謝罪します。

君は301円問題を知っているか

301円問題とは、セブンイレブンで税込100円の商品を3つ買うと総額301円になるという問題である。
セブンが小学生レベルの計算ができないわけではない。計算の方法を変更したのである。

詳しくはこちらを見てほしい。
「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/11/news026.html

要するに、セブンイレブンは2019年9月16日から消費税の計算を商品ごとに行うのではなく、税抜の合計金額に消費税分を加算する方式に変更して、(https://www.sej.co.jp/var/rev0/0002/2290/11996125654.pdf)客の混乱を招いたのだ。

セブンはこの対応を謝罪。(https://www.sej.co.jp/company/important/201909062030_copy.html
しかし、この対応は現在も続いている。

国の方針と逆行?

2004年4月から、広告や値札に総額表示義務が課せられた。
これは、「税抜93円(税込100円)」のように消費者が商品購入のために払うべき総額を表示しなければならないものだ。

ここで301円問題を思い出してみよう。
「税抜93円(税込100円)」と表示されていれば、客はこの商品を1個購入するために必要な金額が100円だとわかる。2個なら200円、3個なら300円…といきたいところだが、3個になると突如として301円になるのだ。

これでは総額表示義務の意味がない。
国はこの問題に対してどう対策しているのだろうか。
実は、明確な答えが財務省によってなされている。

限りなくクロに近いグレー

その回答がこれである。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/a_001.htm#16

少しわかりにくいので、解説を加える。
①そもそも、93×3×1.08=301.32という総額ベースの消費税計算は旧消費税法施行規則第22条第1項の特例で認められたものである。
②しかし、この制度は税抜価格の表示を前提としたもので、総額表示義務制度ができたことからかえって混乱をもたらすと考えられ、廃止された。
③ところが、従来の総額ベースで計算を行うレジシステムから新しいレジシステムを導入するには手間がかかる事業者もいるため、2023年9月30日まで猶予が設けられた。

つまり、2020年現在において総額ベースで消費税の計算を行うことは違法ではないが、2023年10月までには商品ごとに消費税の計算を行う新システムを導入しなければならないということである。

ここで、一つの疑問が生まれる。
「なぜ、セブンイレブンは新システムから将来更新しなければならない旧システムをわざわざ導入したのか?」ということだ。

財務省が先程の記事で説明しているように、「総額表示への移行後も従来の『税抜レジシステム』を用いた場合には消費者との間でトラブルが生じるケースがあるため、『税込価格』を基に計算するレジシステムに移行されていくことが望ましい」のである。
『税抜レジシステム』ついてセブンの広報は軽減税率導入のためと説明している(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/262202/2)が、将来的にこの方式はやめなければいけないこと、かえって客の混乱を招いていることを考えれば納得できるものではない。

この答えについては次回の考察編で考えてみようと思う。